1.出会いと別れ

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劣等感は高校生になっても消えないでいた、 チビで童顔な私は、恋愛とは無縁の中学時代を過ごしてきたからだ。 「ここに一人いるだろう」 「変な趣味! 翔琉は美意識がズレてるよ」 心にも無く捻くれた言い方をしてしまう、翔琉の言葉を素直に受け取ることができない、 最近はそんな自分が嫌いになりかけていた。 あッ‼︎ 突然振り上げられた手に目を瞑り顔をしかめた、叩かれると思ったその直後、掌の代わりに力強い腕が私の躰を抱きしめていた。 翔琉が女の子に手を挙げることなんてない……か、 今までもなかったし、きっとこれからも。 私を抱きしめる時の力加減は申し分ないと思う、強すぎず弱すぎず、いつまでもこうしていたいと思わせるほど優しい。 「結衣、俺が嫌いになったのか?」 耳元に囁やく哀しげな声音、胸の中で小さく首を振って否定しながらも自然と涙が溢れた、、 こんなに愛してくれる彼を、私はどうして受け止めてあげる事ができないのだろうか、私だって彼が大好きだ、ずっと一緒にいたいと思っている。 でも…… やっぱり理由なんてない、、彼との未来が私には描けないだけだ。 それが彼のせいじゃないことも知っている、 何かが足りない……それが何かもわからない、 「私がくっついていたら翔琉は告白もされないでしょ……」 しゃくりあげながら泣いた、 彼は戸惑いながらも、抱きしめた腕をいつまでも離さなかった……。
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