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別世界で大切なもの
夢のような旅行から普段の日常へと戻ってきて、すれ違う毎日をだらだらと過ごしていた。
「いい夫婦ですね。」
そう言われたが全然心に響かなかった。
「結婚ってなんだっけ…………」
やはりお金があっても愛がなければ寂しい人生で終わってしまう気がする。愛はこの世にとってなくてはならないものだと思う。
愛して、愛されて死にたい……そう思った。
「生まれ変わったら一緒になろうね。」
たまに口癖のように言ってたっけ……。彼がいなければ、私は今、こんなに充実した日々を送っていない。
「ロミオとジュリエットのように二人の願いを込めてまた来世も巡り合いたい……」
そう思いながら残りの人生を一緒に過ごしていた。ここ最近レイラの体調がおかしい。風邪を引きやすく、吐き気がする。
「まさか……」
女の勘は当たるんだった。
なんと彼との子供を妊娠していた。
旦那に言えないまま過ごしていたが、旦那の病気が悪化して突然他界してしまった。
「おめでとうございます。女の子ですよ。」
助産師が赤ちゃんを抱き抱え、レイラの顔に近付ける。
名前は『栞(しおり)』と命名。
彼との子供が誕生した。
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