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アイドル復活⁉
『ようこそ、栞さま……』
この世界にはAIの声が常に聞こえる。
見えないインターネットの世界だがしっかりとAIには行動や考えていることが見られていて、いつでも自由がなかった。栞はレイラのようになりたくて、マナーはもちろんの事、ボイトレをマメに学んだ。
「栞さん?あなたのお母さんは本当にすごい人なのですよ!少し面白い人だったけれど……。」
みんなが口を揃えて言う言葉。しかし、栞にとってのお母さんは地味な生活を送るただのお母さん。とてもじゃないけど、芸能人にはほど遠い存在だった。そして、同じく言われる事といえば、
「お母さんにそっくりね!!」
「……。」
栞はお母さんと一緒にされるのが嫌だった。母と違って栞のマネージャーはロボットだ。
――時代は変わった――
そんなことを思っていると、ロボットが栞を見てレイラとの違いをスキャンしている。まるで獲物を見つめるかのように上から覗いて見ている鳥がいる。鳥の目線の先にはレイラそっくりの栞のポスター。しかし以前から知っているかのようにその鳥はじーっと見つめている。
「……じゃん!」
どこからか、レイラの声がかすかに聞こえた気がした……。
ん?この鳥は不思議でならない。
栞は鳥が見ていたポスターを見た。自分が着ている衣装に付いている「スピネル」という宝石が綺麗で鳥と同じくじーっと見ていた。
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
どこからかオルゴールのような心地よいメロディーが流れてきた。すると、ピカッとスピネルが光り、栞はポスターに吸い込まれるかのように瞬間移動した。
真っ暗な暗闇の中、だんだん光が見えてきた。
パーーーッ、眩しい!
そこはレイラがいる宇宙だった。しかも『宇宙オリンピック開催』と書かれている……。
「えぇ――!」
すると早速アナウンスが流れた。
「次は~~~SHIORI~~~~~!」
「イェ~~~~~~イ!」
歓声が上がる……。
「あれ?栞が出てもいいの?お母さん……いや、レイラじゃないの?……。」
レイラはなんと、栞とは逆の月の反対側で開催していた。
しかし、お互いそれには気が付いていない……。
栞は夢を叶えてステージの上で歌った。
曲は子供にも大人気のあの曲だ。
これはいつもお母さんの部屋にあったオルゴールの曲と一緒。
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
「おめでとう!!100点満点で~す!」
なんと、金メダルを栞は遂に受け取る事が出来た。
すると、どこからかワサワサと一羽の鳥が羽ばたいて飛んできた。
「大トリじゃーーん!」
大きな声で叫ぶ声がした。
「……ん?」
この声はどこかで聞いたことあるような……それは鳥の姿をしたレイラだった。
「やめてよ、お母さん……でもまた会えた気がする。いつも栞を見ててね、お母さん!」
そして、近くに寄ってきたその鳥に栞は金メダルを掛けてあげた。
「みんな、ありがとーー、大好きだよーー‼」
巡り会ったすべての人に感謝をし、大声で叫んだ。
「私も運命の人、見つけるね。」
栞の肩にその鳥がとまり、愛に囲まれた瞬間だった。
END.
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