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別世界での恋
恋の力は何処から沸き上がってくるのだろうか。実際に会ったことはないけれど、スマホの中ではいつでも逢うことが出来る。
彼は私と同じ世代。いつも年上の方と一緒になることが多かったから、正直どう接していいのか不安だった。彼はすぐに返事をくれて、まめに連絡をくれる……本当に傍にいてくれている安心感があった。
人は年齢や見た目じゃない。私と彼は本当に心に惚れ込んでしまったみたいだった。でも、時々不安になる。まるで自分が二人いるような感覚になってしまう。すぐ傍にパラレルワールドがあるかのように、私はこの先、何処へ行ってしまうのだろうか。
正直、旦那のマコトよりも本気で恋をしてしまっている。
別れたくないと思えば思うほど好きになってしまい、この先もずっと一緒にいたいと思うほど綺麗なシュウトの心と優しさを見て惹かれ、綺麗な思い出として残したくて、何度も別れを考えて悩み続ける日々もあった。
「空想なんだ……」
それとは逆で、彼の存在のおかげでやる気と元気が自然と出てきて家事のスピードが上がりまくりになっている。あれだけ嫌だった食事作り。私の帰りが遅くなってもパパッと楽しく家事をこなせるようになった。しかし、旦那に感謝もされない毎日にうんざりだった。
現実はどうしてこんなにも生きづらい世の中なのだろうか。スマートフォンの中にいる彼はいつも欠かさず挨拶をしてくれた。泣いた分だけ幸せを彼から貰っているかのようで、すごく救われていた。
これは「恋」なのか「愛」なのか。
会ってもいないのに心はいつも目の前にいる旦那よりも彼が近くにいて、距離はとても近くに感じている。時々、束縛したくなる感情も出てきてしまう。そこまで彼と一緒にいたいと思ってしまう自分が時々分からなくなる。
それは二人とも同じだった。
お互い嫉妬して、私は彼を困らせて……。しかし、それらを繰り返す度に気づいたことがあった。彼が読んでみてと勧めてくれた、とある一流の作家さんの本の中には私たちの事が予知されているかのようなキーワードがどんどん出てくるのだった。
それだけではない。
近親者の名前だってメールのタイミングだって思っている事ほとんどが一緒だった。
それはいつもシンクロを繰り返す程、偶然が重なる。
それからは”運命の人”なんじゃないかって思うようになった。
いくつになっても恋をしてキラキラ輝いた人生を送りたいと思った。
だから私は旦那と別れてもいい覚悟を持ちながら、彼と会うことを決意した。
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