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別世界での生活
私は自分の家庭を持ちながら、彼とスマートフォンで生活を始めた。常に文字で会話をし、メールで24時間寄り添った。連絡が途絶えると心配してくれる。そして時にはさりげないことで喧嘩になって泣くこともあった。旦那からは連絡や会話がほとんどない。しかし、彼とは朝から晩までずっと繋がっている日々。
「きっとお互い、寂しいんだろう……」
初めはそう思っていたが、やがて本当に暮らしているかのような感覚になっていた。会話は大切だと思った。笑わせてくれたり、逆に笑わせたり……。私は彼のことを命の恩人だと思っている。
「こんな私を見つけてくれてありがとう……」
私はまるで夢のような世界へ足を踏み入れていた。二人がお互いに大切な何かを抱えながら生きている。
まさに次元が違う世界を共にしている感覚。旦那と彼の二人が交差しているようだった。
ある時、朝食を食べていたら旦那が女の名前を呼んだ。私は何事もなかったかのようにしていたが、女の勘はよく当たる。
旦那がたまに仕事を休んでどこかへ出掛けていることもなんとなく知っていた。それらを我慢ばかりしていたのを神様が見ていてくれたんだろうか……。だから私は彼に思いを寄せた。旦那よりも大切にしてくれる気がするし、正直になんでも話してくれる。
「我慢なんか捨てちゃえ‼」
そして、彼は一冊の小説を作った。彼は私を小説の中に閉じ込め、永遠のものにした。
ずっと傍にいて欲しくて…………。
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