【3】Protection

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【3】Protection

いつもの様に、昴が事件をまとめた。 ①渋谷 交通事故 運転手:佐伯(さえき) 正孝(まさたか)。  桜銀行社員で目立たず、大人しい性格。 突然急ハンドルを切り横転、他車と衝突。 重症は負ったものの、命は助かり入院中。 目の前に、突然女性が現れたと証言。 道路交通法違反の罰則で、免停処分。 ②東京タワー飛び降り 被害者:仲間(なかま) 治人(はるひ)。  タワー警備員歴1年の派遣社員。 外にいた男性を引き止めようとして落下、死亡。 その男性は多数目撃あり、消えた。 ③府中市中央線脱線事故。 運転士:平野(ひらの) 康太(こうた)。  JR勤続2年、評判はあまり良くない。 突然、線路上に男性が現れたと証言。 足と肩を骨折するも、命は無事。 乗客の負傷者多数で、業務上過失傷害の裁判中。 ④日比谷交通事故 死亡者:掛川(かけがわ) 純市(じゅんいち)。  赤信号を無視して暴走し、事故を起こす。  東京レーシングチームのレーサー。  交通違反で免停中。 被害者:幡山(はたやま) 光彦(みつひこ)。  東明運輸運転手、勤続1年。  軽傷で自宅療養、謹慎中。 衝突後に、スポーツカーを認識。 他の数人からも同様な証言あり。 「とても共通点などない感じね。昴、何でもいいけど見つけたかな?」 「直接の接点はありませんが、自宅のパソコンとスマホを調べたところ、同じサイトへのアクセス記録が、いくつか見つかりました」 昴がサイト名とURLを映した。 「一般的なものがほとんどですが、これだけは別です。ログインするには登録が必要で、身分証にマイナンバーカードを提示したら、弾き出されました」 「警察ってのが、バレたのね」 「サイト名はログインしない限り不明。まともなサイトではないと思います。セキュリティが厳しく、複数の拠点を経由しており、捜索不能です」 「打って付けの奴がいるじゃねぇか、咲さん」 淳一が指名した人物は、他のメンバーも考えた。 恋人である咲以外は。 「まさか、(じん)? さすがにヤクザの組長はないでしょ!逆に不自然だわ💦」 「飛鳥神…ではなく、その手下か傘下の組員なら大丈夫じゃないか、咲?」 「部長まで言うの?…全く。いつも警察とヤクザが協力するのをボヤいてるくせに…」 「そ…そんなことはない💦 咲と(じん)の式なら、仲人は無理でも、スピーチくらいしてやっても良いと思ってるんだがな」 「ないない、ないわよそんなの💧。あり得ないでしょ! ヤクザの組長と刑事課長の挙式なんて」 「あの…報告しても宜しいでしょうか?」 (噂はマジなのかよ💧) 呆れた真田が、口を挟む。 我に返る富士本と咲。 「あ…あぁ、頼む」 「小笠原社長から預かった、例のアバターを、目撃者達に見せたところ、やはり間違いないようです。それから、被害者の職場も回りましたが…」 「会議中すみません、彼女が話があるそうです」 真田の報告を遮って、受付の磯和(いそわ) 佳苗(かなえ)が、女性を連れて入って来た。 「君は確か、桜銀行の…」 「はい、真田刑事さん。さっきは皆んなの手前、伝えられなくて…」 死んだ佐伯正孝の話を聞いた、事務員である。 何か言いた気な気配は、感じていた真田。 「良く来てくれました。どうぞこちらへ。佳苗さん、ご苦労様です」 「えっ?…いえ、あ、はい💦 失礼します」 まだ来たばかりの真田に名前を呼ばれ、ドキッ❣️っとした磯和であった。
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