【3】Protection

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〜Hunter〜 バーチャルオフィスに集まったメンバー。 ミカエルによる、緊急召集である。 「ガブリエル、今夜のあいつは俺の標的じゃない。その上、1億のフェラーリまで失うとは…クソッ、どうなってやがる❗️」 フェラーリのカメラで、車から降りた桐谷を写し、直ぐに調べて刑事だと知った。 「証拠を残すわけにはいかないだろう」 爆破を判断したガブリエルの反論。 チームの計画を練り、統率するのが役目である。 「十分調べた標的だ。時間通り職場を出たのも確認した。駐車場で入れ替わったんだ。つまり、完全に計画が漏れたってことだな…」 ガブリエルは、病院の監視カメラに侵入し、確かめていた。 「計画を知ってるのは、あの原田ってヤクザと我々だけだ」 「おいラファエル、お前この中に裏切り者がいるとでも思ってんのか?」 「ヤクザが警察へ通報するわけないだろう。まして、昼間にあんな無茶苦茶な運転したヤツだぜ」 極一部を除き、飛鳥組と警視庁が繋がっているなど、想像できないのが普通である。 「しかしミカエル、2度も同じヤツに負けるとは、腕が落ちたんじゃないか?」 「何だとラファエル?」 ラファエルも煽り屋の役で、これまで幾つもの動画に出ていた。 「まぁ、ちょっと落ち着こう。まず不思議な点は、昼間のドライバーがヤクザで、煽られたのに何故入会に来たのか?」 ガブリエルが、会合の主題に戻す。 「ただの偶然よ。 昼間に煽られ、興味を持ったんじゃない? ウチら煽り屋グループは、SNSで人気だからね。まぁ…ミカエルに追われて、自信ついたのかもね〜ハハハ冗談よ、」 「しかし、確かにあの腕は欲しかったな。カマエルも失って、あと1人ドライバーが欲しかったんだが…」 「ガブリエルはどう思うの? 確かにアイツは少し狂ってたけど、信号無視して事故死なんて、元レーサーがあり得ないでしょ」 「アリエルの言う通り、この2週間で2人も異常な死に方をしているのは、偶然とは思えない」 「ウリエルね。東京タワーから落ちて死ぬなんて。自殺するほど悩む性格には見えなかったわ」 少し静まり返るルーム。 「なんかさぁ…ファントム・シンドロームとか、ゴースト・シンドロームとか噂で、存在しない人が目撃されててさ。ネットで見たけど、ここのメンバーのアバターに似てるって言うか…」 「アリエル! 噂なんか信じるな❗️」 現実世界での恋人に、声を荒げるミカエル。 「冷静になれよ、死にかけたメンバーは、他にもいるし。安易に無視はできないな」 「アズラーイールか…ラファエルの言う通り、皆んなそれぞれ、注意するに越したことはない。暫くは間を空けるか」 「バカ言うなガブリエル。何ビビってんだ。SNS界に休止期間なんてない! 続けないと、直ぐに忘れ去られてお終いだ。明日はやめるが、明後日もう一度あの女を狙う。1日空けば、警戒は解けるだろうしな」 「大丈夫なの? 本当に。死亡事故になったのはまだ3件だけど、今日アップした1年前のは、やっぱりヤバかったわね」 「相手が白和泉財閥のご令嬢ってだけで、あんなに違うとはな。くだらない世の中だぜ。でもおかげ様で、このD-Momentで上位を取ることができたんだ。この勢いで、どんどんやってやる。今夜は以上、解散❗️」 オーナーの閉鎖で、ルームは強制終了した。 有名な7大天使、ミカエル、ラファエル、ガブリエル、ウリエル、アリエル、カマエル、アズラーイール。 2人は死に、1人は重症。 残された4人の天使、ミカエル、ラファエル、ガブリエル、アリエル。 彼らが企む煽り屋『Hunter』の投稿動画。 その彼らを待ち受ける運命。 事件は、クライマックスへと進み始めた。
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