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〜アメリカ合衆国 イリノイ州シカゴ〜
北米最大のコンベンション・センター『マコーミックプレイス』。
様々な展示会やショー、国際会議が行なわれ、毎年300万人近い者が訪れる。
そこで開催された、『次世代ソサイエティ(社会)国際技術発表会』に、日本からはCVW(Creative Virtual World Ltd.:創造的仮想世界株式会社)と、ICSA(international Cloud Security Alliance Ltd.:国際クラウド安全保障連合株式会社)が参加した。
今回世界が注目したのは、CVW社の統合的バーチャルプラットフォームシステムであった。
CVW社長の小笠原 駿壱は、最新のリアリティ溢れるバーチャル空間の利便性と活用分野を説き、ICSA社長の荒垣徹は、その安全性とセキュリティについて、自ら開発したシステムを説明した。
「映像では見せてもらったが、CGや加工技術が進んだ今、本当にどの程度のものか…」
あまりのリアリティに、各国の技術者達から、同じ疑念の騒めきが起きる。
それを聞いた荒垣が、肩をすくめ呟いた。
「ほら見ろ、やっぱり加工してたんだろ? 私も怪しいと思ってたんだ。全く…必死でセキュリティシステムを確立した身にもなれ」
「何だと? お前まで疑うって言うのか?」
「ここにいる皆んなは、その道のプロフェッショナルだ。くだらないものに時間を使いやがって」
彼らの目の前で侮辱され、小笠原がキレた。
ざわめく会場。
「この野郎❗️」
振り翳した拳が荒垣の顔面を…すり抜けた。
「⁉️」
一瞬にして静まり返った会場。
「失礼しました皆さん。ただの演技ですので、ご安心ください。彼…荒垣徹さんは、最初から本物ではありません。あらかじめ、会場に幾つか設置したコレで作り上げたものです」
演台に手のひらサイズのキューブを置いた。
刑事課で披露したものである。
「本物の荒垣さんは、今東京のオフィスにいます。専用のモーションキャプチャーを着て、リモートで見ながら動き、喋っていました」
そう言われても尚、バーチャルが作り上げたものとは信じられない皆んな。
「私は本物です。いかがでしょう、これで信用して頂けたでしょうか?」
その答えは、盛大な拍手により返された。
「良かった。荒垣さん、ご苦労様でした」
「皆さん、騙してしまってすみません。因みに、悪意を持って操作しようとしても、私が開発した犯罪者予知システムによりブロックされます」
刑事課に導入している、CAPS(Criminal analysis prediction system)の応用システムである。
こうして2人のプレゼンは、大成功を収めた。
当面はゲームや様々なショー、警備や防犯などの用途に適用する予定である。
懇談会にも参加した荒垣の周りには、多くの人々が群がり、小笠原には次々と技術提携や商談の話が集まったのであった。
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