そうだ、死のう。

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 翌日、朝いつも通りに出勤し、いつも通り仕事をこなした。いつもと違うのは昨晩書いた退職届を鞄に忍ばせていることだ。いつものように与えられた業務をこなし、いつものように同僚の手伝いをし、いつものように退勤時間を迎える。私は帰り支度をして上司の元へと向かった。人々の訝しげな視線が刺さるのを感じながら上司の前に立つ。手に持っていた退職届を差し出し、辞めますとだけ言ってオフィスを出た。背後で誰かが何かを言う声がいくつか聞こえたが私の耳には入らない。なんだ、こんなに簡単なことだったんだ。
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