番外編.ハッピー・バレンタイン・デー ※R18エロ

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番外編.ハッピー・バレンタイン・デー ※R18エロ

「あっ! 大事なことを訊き忘れてた!!」  ショコラ・ランド王国(獣人の国)へと嫁いできてバタバタも落ち着いた頃、僕はふと重要事項を確認していなかったと気付いた。  仕事を終えてティータイムで一息吐いていた彼は、急に立ち上がって詰め寄る僕に首を傾げる。 「大事なこと?」 「ダークの誕生日! 教えてもらってなかったよね。で、いつなの?」 「何かと思えば、誕生日か……ああ、そう言えば今月だったな」 「今月!? なんでもっと早く教えてくれないの! まさか過ぎてるなんて言わないよね?!」 「過ぎてはいないが……今日が13日だから、明日だな」 「あ、明日!!? そんな間近なのに、なんでみんな準備してる素振りないの? 御供達も教えてくれたって良かったのに……」 「準備? ……あ、否、こっちではお前の所みたいに個々に誕生祭を催したりしないぞ。うちは兄弟が多いから尚更、個々に催していたら毎月宴だなんて浮かれたことになる。せいぜい祝うとしても、建国記念の祝賀パーティーとまとめてだな」  年末年始の祝賀パーティーと誕生祭が一緒くただなんて衝撃的な事実を告げられ、僕は愕然としてしまう。 「そ、そんなぁ……誕生日は特別な日なんだよ! 僕はダークの誕生日、ちゃんとお祝いしたいよぉ!!」  僕が精一杯訴えると、彼は僕の手を引いて膝の上に乗せ、鼻先で頬擦りする。 「ふふ。祝って悪いということはないから、お前が祝ってくれるのは大歓迎だ。国柄的に成人すると個々に祝う習慣がないだけで、内々で祝う分には何の問題もない」 「じゃあ、僕達でダークの誕生日パーティーしようね! 誕生日は特別な日だから、僕にできることならなんでもするよ! プレゼントは何か欲しいものある?」 「プレゼントか…………ん? 今なんでもと言ったか?」 「うん。僕にできる範囲にはなっちゃうけど……あ、明日って2月14日、バレンタインじゃん!」 「ばれんたいん?」  彼は眉根を寄せて聞きなれない単語みたいな反応で復唱した。  この世界にはバレンタイン・デーの風習はなかったかもしれないなと思い、僕は簡単に説明する。 「えっとね、僕の知ってる文化圏では2月14日はバレンタイン・デーと言って、チョコレートを好きな人に贈って愛を告白したり、お世話になっている人に贈って感謝の気持ちを伝えたりする特別な日なんだよ」 「ほう、それはいいな。ならば、プレゼントはお前からのチョコレートがいい」  表情を綻ばせる彼にキュンキュンしてしまう。  彼からのおねだりが控えめで可愛すぎる。  特別な日なんだから、僕はもっと甘やかしてあげたいのに。 「もちろんチョコレートも贈るけど、それとは他に何か欲しがってもいいんだよ?」 「他にもいいのか? ……欲張っていいなら、俺の言うことを一日なんでもきくのはどうだ?」 「僕は構わないけど、本当にそんなんでいいの?」 「お前がなんでもしてくれるなんて最高じゃないか」  彼は期待に満ちたキラキラ目で僕を見つめて、尻尾をパタパタと振っていたのだった。  ◆  翌日の誕生日、当日。  彼は終始ご機嫌で、僕にベッタリくっついて離れない。  いつもはお勤めをしている時間帯なのだけど、僕と丸一日過ごす為に前倒しで仕事を片付け、急遽休みを取ったのだそうだ。 「ダーク、そんなにくっついてたら動きにくいよ」  お祝いのご馳走を用意しようとしている最中も抱き付いてるものだから、なかなか料理が捗らない。 「いつもは忙殺されてなかなか見られないお前の姿が見れて、嬉しくてつい触れたくなってしまうんだ……ダメか?」  僕の肩に頭を乗せて窺うように覗き込み、クゥンと鼻を鳴らして彼が甘えるのだ。  普段は威風堂々としている彼が、僕にだけ甘えてくれる破壊力、凄まじすぎる。  お腹に腕が回されていて非常に動きにくいとか、そんなことはもうどうでも良くなってしまう。 「ん゛んん゛っ! 全っ然、ダメじゃないっ!!」 「あははは、甘ちょろいなフランは……ちゅっちゅっちゅ」  彼は楽しげに笑って僕に口付けの雨を降らせる。 「はぅ、もう好きにして……」  今日一日は彼の言うことをなんでもきくと約束したので、彼のご要望とあればなんでも応えようではないかと、僕は赤くなりながらも頑張ってご馳走を用意したのだった。  ◆ 「はい、あぁ~ん。……どうかな、美味しい?」 「ん、美味い」  ご要望にお応えして、彼の膝の上で横抱きに抱えられ、僕は手ずから食べさせてあげていた。  それも、ベビーピンクのフリフリエプロンを着てだ。新妻とかが着てそうなイメージのあの甘々デザインのエプロンで。  いつの間にか僕の荷物に仕込まれていた(たぶん母からの餞別)を彼が見つけ出して、着る羽目になってしまった。  彼は可愛い可愛いと絶賛してくれるけど、とてもじゃないが恥ずかしくて人前では絶対に着れない。 「これ着るの今日だけだからね……」 「可愛くていいのに。俺の前でだけならいいだろう? な?」 「もぅ、機会があればね……さぁ、デザートにしよう。今回のチョコレートはチョコフォンデュだよ。フルーツとかプチケーキを絡めて食べるの」  くっつかれて料理しにくかったので、手の込んだものが作れなかったのは内緒。  決して手抜きをしたわけではないのだ。  素材を厳選しているし、甘酸っぱいフルーツと濃厚なチョコレートの相性は抜群。間違いない美味しさなのだから。  フォークに刺したイチゴをとろけたチョコレートにくぐらせて絡め、僕は彼の口元へと運ぶ。 「はい、あぁ~ん」 「あー、ぱく。もぐもぐもぐ……果実にチョコレートなかなか合うな。うん、美味い」  彼は感心するように美味いと頷くと、今度はフォークを自分で持ってバナナをチョコレートにくぐらせ、僕の前へと差し出す。 「お前も食べたいだろう。ほら、口開けろ」 「あぁ~ん、ぱくり。もぐもぐもぐ……んん~、美味ひ~♡」  僕達はお互いに食べさせ合って、甘酸っぱくて美味しいチョコフォンデュを堪能したのだった。 「あっ!」 「あ、すまん。垂れてしまった」  とろけたチョコレートが零れ落ちて、エプロンの胸元を汚してしまった。 「エプロンだし汚してもいいよ。服は汚れてないから」 「せっかくのチョコレートがもったいないな……」  彼は呟くと僕を引き寄せて頭を下げ、零れ落ちたチョコレートを舐めてエプロンごと食んだ。 「ダーク、くすぐったい、よぉ……んぁっ!」 「ん? …………ぺろり」  もぞもぞと動かれて、エプロン越しの甘い刺激に変な声が出てしまった。  慌てて口を両手で塞いだけど時すでに遅しで、彼の耳は反応してピンと聳っているし、舌舐めづりをする彼に獲物として狙いを定められてしまった気がする。 「あ、わぁ、ちょっと、ダークぅ?!」 「汚れないように服は脱いでしまえばいいな」  嬉々とする彼に器用に服を剥ぎ取られ、僕はとんでもない恰好にさせられてしまう。  衣服は下着まで取られてしまったのに、エプロンだけが残った状態という……これは、いわゆる裸エプロンというやつなのではないか!? 「な、なんなのこの格好! なんか、すごい破廉恥なんですけど!!」 「これは汚れてもいいのだろう? ふふ、こういうのも悪くないな。見えそうで見えないのが、また唆られる」 「エロオヤジか!? ダークのエッチ! ヘンタイ!!」 「グルウウゥ…………カプッ、カジカジ」 「ひゃあっ! あぁっ、やぁん!!」  羞恥心で真っ赤になって僕が喚いていると、彼は喉を鳴らして唸り、僕の首筋にかぶりついた。 「もっと、お前のチョコレートを堪能させてくれ」  痺れる響きの低い声で耳元に囁かれ、彼の指先がチョコレートを掬い取って、僕の身体に垂らし、エプロン越しに塗りつけ始める。  人肌よりも生暖かいとろりとした感触が肌に伝い、胸の突起を執拗に撫でさすられて、甘い吐息が零れてしまう。  十分にチョコレートを絡め、胸の果実が膨らんで熟れたところで、彼の口に含まれてねっとりと舌を這わされ、味あわれる。 「んっ、んん、ふぅ、はぁ……は、ぁん、そんなにペロペロ舐めたら、もうチョコレート、付いてないよぉ……はぁ、あ、あんっ! グニグニ噛んじゃ、だめぇ! やん、あっ、あっ、あひん!」  すっかりチョコレートを舐め取ってしまった果実はぷっくりと膨れて、そこだけ唾液で濡れてエプロンが透けてしまい、とても淫靡な光景になった。  透けて食べて欲しそうに震える果実は指先で摘まれ、クニクニとつねられこねられていじくられ、まだ育ちきっていない果実も吸い上げられて、舌先でつつかれねぶられる。 「ひあ、ひん、ふっ、うぅん、んっ……同時にそんな、いじっちゃ、あっ、あん、ンッ……ふぁ、んぁあ、はぁん」  両方の果実が赤く膨れててらてらと光沢を放って熟れた頃、僕の下腹の中心もエプロンの裾を押し上げてぷるぷると震え、先走りがエプロンを汚して先っぽだけがいやらしく透けて見える状態になっていた。  そんなひくつく先っぽの上から、とろけたぬるいチョコレートを垂らされ、彼は僕に囁き問いかける。 「ああ、美味そうだな。次はどこを食べて欲しい?」 「はぁ、はぁ、もぅ……ダークばっかりずるいぃ……ねぇ、僕もダークのこと食べたいよぉ、はぁ、はぁ、ん……ん♡」  僕は彼のチョコレートで汚れた手を取って、指に舌を這わせて舐めしゃぶり、潤んだ目で見上げておねだりし、彼の張り詰めた下腹中心に指を滑らせて撫で上げた。 「ハァ、可愛いな。好きなだけ食べていいぞ」  「ダークは美味しいチョコレートの味がするの、僕の大好きな味……ねぇ、じっくり味わいたいからベッド行こ?」 「そうだな。俺ももっとお前を味わいたい……」  彼は僕を横抱きに抱っこして、寝室へと連れていく。  大きなベッドに降ろされたけど、服やエプロンを脱ぐのもわずらわしくて、乱れた服装のまま彼のものにしゃぶりつき、お互いに味わって舐め合いっこする。  前世だったら男の人のものを舐めたり口にするなんて絶対に考えられない行為だけど、彼のものだと思うと愛しさが込み上げてきて、グロテスクな見た目も気にならない。  何より、すごく美味しいと感じてしまうのだから不思議だ。 「はむ、んむ、ちゅっ、ちゅぷ、じゅる……美味しい、だぁーくのチョコレート、美味し♡ ……ちゅっ、ちゅぷ、ちゅるる……この味好きぃ♡ んぁ……ん、んっ」  この世界がお菓子の世界だからなのかなと、ぼんやりと考えて味わっていたら、彼に蜜棒を舐められながら蜜孔もグズグズに解されて堪らなくなってしまう。  彼は最近、僕が欲しがるまでたっぷりと時間をかけ、焦らすようになってしまったのだ。  快楽を覚えさせられた身体では我慢できなくなって、僕はとても恥ずかしい言葉を言わされる羽目になる。 「ぢゅ、ぢゅるる……フラン、俺を欲しがれ……もっと、もっと乱れて見せろ……」 「ちゅぷ、ちゅっ、んあぁ……もう、もう欲しいよぉ。焦らさないでぇ……僕の中にダークのおっきいの入れていっぱいにして、気持ちいいとこグリグリして……ねぇ、僕が逃げても捕まえて犯してぇ♡ いっぱい奥突いて気持ちよくしてイカせてよぉ♡」 「ハァ……いいぞ。その前に自分で咥え込んで、気持ちよくなれたらな……ほら、お前が上に乗ってみろ」 「んえっ、わぁ、僕が上って?! はうぅ、こんなの恥ずかしい、よぉ……」  僕は腕を引かれて、彼の腹の上に跨がる体勢へさせられてしまった。  ここから自分で彼の巨大なものを迎え入れなければならないのだ。  彼に熱い視線でじっくりと見られながらなんて、ドキドキしすぎて眩暈がする。 「フラン、お願いだ。お前が自ら乱れていく姿が見たい」 「う、うん……分かった」  今日は何でも彼のいうことをきくと約束した日、彼のお願いなのだからやるしかない。  僕は彼の剛直に手を添えて、ぬかるんでひくついてしまう蜜孔へと押し当て、ゆっくりと腰を下ろしていく。 「はぁ、はっ……ん、んあぁっ、あっ、だぁーくのおっきいの、入ってくるぅ……んぁあ、あっ、あっ」  いつもと体勢が違うせいなのか、自ら迎え入れているせいなのか分からないけど、妙に生々しく感じられて息が上がる。  やっと太いカリ首まで入っただけで僕は息も絶え絶えで、でもすごく気持ち良くて、腰がヘコヘコと勝手に動いてしまう。 「あ、あん、気持ちい、気持ちいいよぉ♡ あっ、ぁっ、んっ、んっ、ふぅ、だぁーくぅ、好き、すきぃ♡」  浅いけど気持ちいい感じるところに擦り付け、くちゅくちゅと水音をさせながら、僕は気持ちよすぎて無意識に口から涎を垂らして腰を振っていた。  エプロンもはだけてリボンだけが腰にまとわりついている状態で、それはもう絶対にひどい見た目をしてると思うんだけど、彼がギラギラとした欲情の宿る目で僕を見つめるものだから、その視線だけで身体の芯が震え絶頂してしまいそうになる。 「あう、あっ、あぁ、だぁーくぅ、そんな見ちゃダメ……あ、んっ、んっ、腰とまんない、も、もう、イキそうなの、これじゃ、一人でイっちゃうぅ、あ、あん、だぁーく、だぁーくぅ♡」 「ハァ、俺に見られて気持ちよくなってるお前の乱れた姿、最高に可愛いな。我慢しないでイっていいぞ。お前が腰振ってイク姿を見ていてやるから」  彼に太腿を掴まれ、いいところに当たるよう剛直を強く押し当てられて、僕は腰振りが止まらず身体をくねらせて、すぐに絶頂へと押し上げられる。 「あっ、あっ、いく、いくっ、いっちゃうっ! あぁ、ああああぁんっ!!」 「ん、くぅ…………っ」  彼の剛直を食いしめて痙攣しながら僕は絶頂に達し、彼の褐色の腹を白い蜜で汚した。 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、あっ、あ、ん」 「上手くイケたな、フラン……すごく可愛いかった。ちゅっちゅっちゅっ」  僕の背や肩を撫でて褒めてくれたと思ったら、彼が入ったまま僕を押し倒して口付けをし、律動を始める。 「あっ、あぁん、だぁーくぅ、イったばかりなのにぃ、気持ちいいの、だめぇ、おかしくなっちゃうよぉ、あっ、あんっ、だぁーくの気持ちよすぎて、らめぇ、イクのとまんらくなるうぅ、あぅ、あっ、はっ、はぁん」 「ハァ、本当に可愛いなお前は……俺の形にすぐに馴染んで、こんなに従順に迎え入れる。なのに、奥まで入れたらぴったり抱き付いてきて、食いしめて放さないんだから」  絶頂の余韻が引かなくて、僕の身体が勝手に反応してしまうのだ。  入る時はやわやわと誘い込むように蠢き、奥までくるとぎゅうぅと絞めつけて痙攣してしまう。 「無意識にやってるなら尚更たちが悪い。こんなに可愛い小悪魔に唆されたら、俺はおかしくなって命でも魂でも何でも差し出してしまうぞ」  快楽に理性が飛んでしまう僕は、腕を伸ばして彼に抱き付き、いつも甘えてしまう。 「だって、だって、ダークは僕のだよ。僕の伴侶なんだからね、誰にもあげない。全部、全部ちょうだい。僕はダークのだから、ダークも僕にちょうだい」 「ああ、全部お前のものだ」 「ダークぅ、好き、好きぃ、大好きっ、愛してる♡ 愛してる、僕のダーク♡」  愛を告白する特別な日。どろどろに溶けあって僕達はチョコレートを味わう。  ◆  濃厚なバレンタイン&バースデーを過ごした後、僕達は二人でお風呂浸かっていた。  足腰が立たなくなってしまった僕を抱え、彼が甲斐甲斐しく世話してくれている。 「ダークって案外、世話焼きだよね」 「ああ、そうだな。お前の世話をするのは楽しいぞ」  丁寧に身体を洗ってくれたり、マッサージしてくれたりするので、すごく気持ちいい。  だけど、時々不埒な指先が僕の身体をいじくって遊ぼうとするので、ペチッと叩き落とす。 「こら、もうダメ。日付が変わったので、特別な日は終了ですぅ」 「む。なら、今日は俺が世話をしてやる特別な日にしよう。足腰も立たなくなっていることだしな」  なんだかんだと言い訳をして、ずっといじくられそうなので流石に叱る。 「んわぁ、こらぁ! ダメだってば、ダークぅ!!」 「ふふっ、お前が居るだけで毎日が特別な日で俺は幸せなんだ。ありがとう、フラン」  愛おしげに抱きすくめられて、肩に頭を乗せて窺うようにクゥンと鼻を鳴らし、甘えられては叱る決意が鈍る。 「もぅ……ちょっと……ちょっとだけだからね?」 「ふっ、あははは。お前は本当に俺にめっぽう甘いなぁ、あはははは」 「そ、そんなことは!! ……あるかもしれない?」 (僕の脚腰が暫く使い物にならなくなるけど、彼が幸せそうに笑うならそれでいいかなと思ってしまう僕はやっぱり甘いのか? ……でも、まぁいいか。甘々って幸せの味だからね)  こうして、僕達の甘々なハッピー・スイート・ライフは続いていくのだ。
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