1人が本棚に入れています
本棚に追加
「よろしく。」
「えぇ、よろしく!」
のんきな奴だ。こんなんだから俺に騙されるんだよ。
今回は、二人で宝石豪商を騙そう、という計画だった。
だがもちろん、俺はその手柄を横取りするつもりである。
だから真のターゲットは共犯者――詐欺師――であるわけだ。
その名は――
「改めまして、萩葉一です。たのしみですねぇ!!!」
まぁ、どうせ偽名なんだろうけど。
「では、今一度計画を詳しくご説明していただけますか?」
馴れ馴れしいヤツに大人な対応をしていく俺。
こんなやつと無駄な会話を交わしたくない。あくまでスマートに終わらせよう。そう心に誓う。
「ええ。
―――喜んで。」
目の前の男の、ニマァっと上がった口角に、思わずひるむ。
こんなヤツだとは…と思いつつ、詐欺師だということを思い出す。
これくらいの顔をしてしまうほどに、狂っているんだ、俺たちは。
最初のコメントを投稿しよう!