十八話 女子〇生

1/1
前へ
/434ページ
次へ

十八話 女子〇生

こんこん。ノックは快楽の音。本当に? 『どうぞ』 俺はドアを開けた。 「みーやこ! お呼びでしょうかぁ?」 部屋の中央に女学生の制服が飾られている。 「お、今回は制服かい?」 「話が早ぁい!」 「これどこの?」 「オーダーメイド」 「・・・まあ、趣味に金をかけるなとは言えないしな」 ちょっとどうかと思ったが、都の生き甲斐なのだから仕方がない。俺は制服に着替える。採寸ぴったり。オーダーメイドなんだから当たり前か。 「化粧もする?」 「よろしくぅ」 都の鏡台を借りて化粧もする。三十歳のおっさんがこんなことしてるのかと思うと、呆れと同時に興奮が身体の中に充満した。 「できたよ、せんせい」 「せっ、先生!」 あまりなりきりすぎず、雰囲気を楽しむのが都の好みだ。そして俺の好みでもある。 「写真撮るんでしょ?」 「はい!」 「可愛く撮ってね」 「はい!」 都はカメラで俺を撮る。この瞬間が、この非日常が、俺を俺でいさせてくれる。 「美代」 「なに?」 「世界一可愛い」 「ありがと・・・」 俺は袖で口元を隠した。 「仕事の話なんだけど、いい?」 「いいよー」 「もう少し人を雇って、直治に前に出てもらって、美代には大学に、」 「またその話? あんまり人を雇い入れるのは・・・」 「私と貴方だけの問題じゃないから。もう決まったことなの」 「そんな・・・」 俺は素直に喜べなかった。都がカメラを置き、俺を抱きしめる。 「なんだかんだ言って、『外』が怖いとか?」 「・・・怖いさ。今の生活が、都の居る生活が壊れることを恐れてる」 「高校の時はそんなこと言わなかったのに。大人になったね」 「もうおじさんだよ」 「可愛いおじさんですこと」 都はそっと俺に口付けた。 「『外』の世界は、やっぱり怖いよ。でも、もう決まったことなのなら・・・」 俺は都を抱きしめ返す。 「都をより良き幸せに導くためなら」 なんだろう。その言葉に、私は深い意味を感じた。 「じゃあ、決まりね。直治には朝食の時に伝えましょう。メイドの採用と教育は任せっぱなしの方がいいのよね?」 「うん。俺の定めた基準に達するメイドを育てて、安心して『外』に行くことにするよ」 「やっと承諾してくれたね」 「・・・俺は愛玩動物なんだから、『行け!』の一言で良かったんじゃない?」 「私が愛玩動物を扱っているように見える?」 俺は嬉しくなって、都の頬に何度も自分の頬を擦り寄せた。 「俺を馬鹿にしてた連中を、見返したいだけなんだ」 都の細い腕が、俺の背中を包む。 「自信を取り戻したら、またここに戻ってくるよ」 「待ってるね」 「『男』としての自信を持てるようにさ、ご奉仕してほしいな・・・」 「わかりました」 俺は服を脱ぐ。都も服を脱いだ。都は跪いて、俺を見上げる。 「美代様」 「う・・・」 俺は興奮の濁流の中に居た。初めてだ、こんなのは。 「ど、どうすればいい?」 「手、握ろうか」 俺と都は両手を握る。 「顔に擦りつけてごらん」 「マジかよ・・・」 恐る恐る、擦りつけてみる。とてつもない支配欲、快感。美しい都の顔が弛緩して、いやらしく俺の男根を見つめている。握り合った両手から行き交うお互いの体温、汗。俺はカクカクと腰を振った。 「んっ、んんっ、都、肌、綺麗・・・」 「イラマチオしてみる?」 「えっ!? あっ、まさか、淳蔵と直治は、」 「したことあるよ」 「ブッ殺すぞあいつら・・・!」 俺の都になんてことを。 「するの? しないの?」 「でも、都が苦しいだろ・・・?」 「まあ、おえっとなっちゃうから胃液が出てきちゃうけど、胃液でべたべたになるの気持ち良いよ?」 「でも、でも・・・」 「私の耳の後ろ掴んでさ、猿みたいに腰振って、こいつは雌なんだ、俺は雄なんだって本能的に感じるの、美代も好きな感覚だと思うなぁ」 「そんなこと言われたら・・・」 都が握っていた手を離し、俺の男根を咥えて、俺の太腿に手を添える。それだけでイキそうなのに、これから都に酷いことするなんて。そう思いながらも、俺は都の耳の後ろを掴んで、腰をゆっくりと動かしていた。喉の奥に先端があたる。膣への挿入が許されない俺達にとって、それは疑似的に都の膣に挿入しているような感覚で、俺は堪らなくなって、都の苦しさなんて忘れて、都の喉を突いた。ごぶっ、ごぶっ、と都が苦しそうに息をする。それでも男根に吸い付いてきて、俺は犯しているのに犯されている気分だった。 「うううっ! これ、すごい良いっ!」 都の言っていた通り、唾液とは違うネバネバが俺の男根に纏わりつく。 「都っ! 苦しいのっ? ごめんっ、俺、止まらないっ!」 俺の都。格好良くて、お茶目で、賢くて、美しくて。 「だ、出していいの!? 中にっ、ううっ、出してもいいの!?」 吸い付きが一層強くなった。本当にどっちが犯しているのかわからない。腰に広がる射精前の感覚。俺は、 私は、 「あっ!?」 目が覚めてしまった。 「畜生ッ!!」 私は寝たまま布団を拳で叩く。最近、イく寸前に目が覚めることが多い。 「羨ましい・・・」 都様を一番愛しているのは私だ。時間より、密度だ。そう自信を持って言えないことが悔しくて悔しくて堪らなかった。 「妬ましい・・・」 愛しているの、都様。なのに、どうしてこんな意地悪な夢を見せるの? 「都様・・・」 私は、泣きながら眠った。
/434ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加