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八話 褒美
九月。私は長期の休みをもらったが、実家には帰らず夢の館で過ごしていた。
こんこん、ノックは快楽の音。
『どうぞ』
愛おしい都様の声。いつからこんなに惚れ込んでしまったのだろう。一目見た時から、初めてお会いした時から、産まれる前から?
「みーやこっ!」
私は、俺は胸が高鳴る。今日は化粧は落としてきた。
「人払いは、」
「抜かりない!」
俺は服を脱ぎ捨てると寝室に向かい、ベッドにぼふんと突っ込んだ。
「今日は砂糖菓子みたいに甘やかしてほしいんだ」
「承知しました」
都は冗談めかしてそう言うと、俺の額にかかった髪を人差し指で流して、額に口付ける。それだけでもう勃起が止まらなかった。
「俺、八月は頑張っただろ? 淳蔵と直治が働かないことについてはなんとも思わないけど、俺が働いている間にイチャついてると思うとやっぱり許せなくて・・・」
「じゃあ、精一杯甘やかして償わないとね」
「うん・・・」
猫が毛繕いするように頬を舐められ、小鳥が啄むようにキスをされる。
「すっごい幸せ・・・」
俺が大きく息を吸うと、それを合図に都が唇に口付けた。ねっとりと熱い舌が絡まる。都の白い指が、細くて長い指が、すべすべの指が、俺の男根をゆるゆると撫で上げる。
「ねえ、都」
「うん?」
「『あと』つけてよ。淳蔵と直治に見せびらかすから」
「悪い子だねえ」
「えへへ・・・」
都が、ちゅう、と音を立てて俺の肌を吸う。ぴりっとした感覚がして、いやらしい傷が出来上がる。
「みやこ・・・おれのまくら・・・」
「ほい」
「乳首、噛んで・・・。血が出るくらい・・・」
俺が枕に顔を埋めると、都は思いっきり俺の乳首に噛みついた。
「んんんんんんーッ!!」
「甘やかしてほしいんじゃなかったんですかねぇ?」
「俺達をこんなふうにしたのは都だろぉ・・・」
目が眩む。
「そうだっけ?」
都は俺の亀頭を人差し指で弾いた。俺の身体が勝手に反応して精液を飛び散らせる。
「あぁあああぁッ!!」
「ごめんごめん。美代は可愛いからつい虐めたくなっちゃって」
「ううー・・・」
「ご褒美なんだし、パイズリしてあげよっか?」
俺はごくりと唾を飲んだ。都は俺達と性的なことをするとき、あまり服を脱がない。下着は滅多に脱がない。だがパイズリの時は別だ。日焼けしていない白い肌を存分に見せつけてくれる。
「・・・する」
「あは。じゃあ、やりやすいようにして」
俺はベッドから下半身を落とし、股を開く。都はローションを取り出すと手に絡め、俺の男根をしごきながら塗りたくった。
「ああっ、も、もうイギぞうっ、ぐぅ、んおおっ、イかせてっ、一回イかせてくださいっ!」
「はいはい」
都はあっという間に俺をイかせた。荒い呼吸を繰り返し痙攣する俺の横で、都はブラウスを脱いで、ベージュ色のブラジャーを脱いだ。
「うぅ・・・」
都のことが好きすぎて、これからのことへの期待が大きすぎて、全然呼吸が落ち着かない。身体中に熱がこもって暴走する。
「ほうら、ご褒美だよ。ちゃんと見ててね」
たぷん、とした胸が、俺の男根を包む。にゅるにゅる、ふわふわ、気持ち良い。都が緩急をつけて胸を上下させる。脳髄がとろける。
「ぎもぢっ、ぎもぢいい!! ああっ、都ぉ!!」
「美代、可愛いよ」
「お、俺っ!! こんな姿っ、都だけっ!! あ、愛し!! 愛してるからぁ!!」
「いつも仕事してくれてありがとうね。ほら、今だけは頭の中空っぽにしちゃえ!」
悪戯な笑みを浮かべて都がぎゅうぎゅうと胸を締めあげる。
「んおおぉお!! ああっ!! ぎもぢいい!! じぬっ!! イギじぬっ!! おがじぐなるっ!!」
「やだなー、私達は死なないでしょ」
精液が出ている感覚がある。なのに、やめてくれない。
「美代、これなに? 精液だけじゃないみたいだけど?」
「わがんないっ!! わがんないいいいいっ!!」
「今度買い出し行く時さ、電動歯ブラシ買っておいでよ。おちんちんにあてて虐めてあげるから、えっちな妄想しながら選んできなさいね」
俺の脳がその光景を想像する。メイドの絵葉か恵美に指示を出しながら、都にみっともなく虐められる姿を想像して、必死に勃起しないように意識しながら歯ブラシを選ぶ俺。
「うぎゅぅうぅうぅう!!」
歯がぶつかりあってカチカチと音が鳴る。漸く都は俺を快楽の暴力から解放してくれた。
「じぬがどおもっだ・・・」
「だから死なないってば」
都が俺の頭を軽く撫でる。胸の谷間に俺の汚物がべっとりと張り付いているのを見て、俺はどうしようもない支配欲に駆られた。
「やば・・・」
私の身体は風邪を引いたかのように発熱していた。
美代様はやばい。
淳蔵様は、普段は高慢ちきで生意気な淳蔵様が痴態を晒しているという事実に興奮した。直治様は、筋肉質で寡黙な男性が獣みたいな声を上げながらみっともない姿を晒している事実に興奮した。でも、美代様は・・・。
冷静で、穏やかで、優しい美代様。
女みたいにヒンヒン喘いでみっともなく射精してる。
私に仕事の指示をしてくる上司が。
夢を見た後は、オナニーしないと身体の熱が放散しない。
ねえ、恵美ちゃんもなの?
都様、都様。
始めて都様の胸を見た。白くて、丸くて、綺麗で、大きくて・・・。
包まれたい。私も。
そういえば、ジャスミンがよく都様に抱きしめられているのを思い出して、
「私は犬以下か・・・」
と、乾いた笑いが零れた。
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