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「な、なんでショーツを脱ぐんだよ。ふつうブラからだろ」
「いいじゃない、あたしの勝手でしょ」
パンイチの妻はときどき見るが、プライチははじめてだ。新鮮なのとセクシーな腰まわりで動揺する。
──そうか、オレを動揺させるための作戦だな。セクシーな格好をして揺さぶりをかけてきたのか、だがそうはいかないぞ。
互いに最後の一枚同士、次で勝負は決まる、あと一回、あと一回勝てばいいのだ、よかろうなのだぁぁぁぁ──
オレは心を静め、明鏡止水の境地にいたると静かに抜刀するように挑んだ。
「さいしょはグー ……ジャンケン・ポン」
妻はグー、そしてオレは──パー。
「やった、勝った、勝ったぞ!!」
歓喜してから今日の決めゼリフ、「さ、脱いでもらおうか」を言おうとしたときだった。妻はブラをずらすとパットを取り出す。
「え、なにそれ」
「パットでしょ。さ、いくわよ、さいしょはグー、ジャンケンポン」
勝ったと思って気が抜けたのと、パットの疑問で動揺したオレは慌ててパーを出してしまい、妻のチョキに負けてしまった。
「あたしの勝ちね。さ、脱いでもらおうか」
勝ち誇る妻にオレは噛みついた。
「なんでパットなんかしてるんだよ、いつもはしてないだろ」
「このブラね、ネットで買ったんだけど海外のヤツだったからサイズが合わなかったのよ。それだけ」
たしかにそうだ。いつもより大きかったのに気づかなかったオレの不注意が敗因か。
しぶしぶとパンツを脱ぎ浴室に向かうと、その横にプラを外した妻が寄り添う。
「お背中流してあげるね」
妻の笑顔に、まあいいかと思った。
ーー 了 ーー
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