act.3 悠里

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   お昼休みに私はこの病院の事務長に呼び出された。 「電話で北さんの事を聞いてきた者がいるんだ、勿論職員の個人情報は一切漏らせないからとすぐに断った。北さんになにか心当たりはあるかね?」  なんかここに気味の悪い電話があったらしい。なにそれ? 「いえ、全くありません」  本当にまるで心当たりが無い、気持ち悪いわ。 「そうか、一応北さんを名指しで来てるから知らせておくよ。相手は雑誌社のアンケート調査とか言っていたが、なにか怪しかったと事務所の者が言っていた。十分気をつけるように。問題は困るからね」 「分かりました」  問題って言われてもなんの事やら、どうもこの事務長は好きじゃない。なんかいつも回りくどくて嫌味っぽいのは有名だ。  とりあえず頭を下げ事務所を出て、職員の控え室に戻った。ロッカーからスマホを取り出すと、LINEとメールが幾つか着信しているのが分かる。  LINEはお兄ちゃん、なにかあったら連絡よこせって相変わらずそればっかりだ。こっちはちょっと置いておいて、と。  メールは美音さんだわ、えと、今日の帰りにお家に寄れないかと言ってくれている。  なにかしら突然?  お兄ちゃんの病院の後でも大丈夫かな、一応その旨をメールで返事をした。  その後、お弁当を持って食堂室に向かった。  
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