act.3 悠里

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   仕事が終わって、お兄ちゃんの病院に寄る。  談話室で仙石さんに貰ったお菓子を二人で食べて、すっかり元気に見えるお兄ちゃんにほっとする。 「うん、やっぱり美味い。仙石さんに会ったらお礼を言っておいてくれ」 「そうね、沢山頂いたのよ。なにかお礼をしなきゃね」  お兄ちゃんの快気祝いも一緒にだね。 「今日も変わりは無かったか?」 「え?うん」  一瞬、職場でのあの出来事が頭をよぎった。妙に気になる見慣れない患者と、私の事を聞いてきたという不思議な電話。  でも下手な事をお兄ちゃんに言うと、絶対にとんでもなく心配されてしまう。  ここは黙っていよう。お兄ちゃんにはもう少し大人しく入院しててもらいたい。 「普通に仕事をしてるだけだもの、何もあるわけないでしょ」 「そうか、それならいいけど」  うん、大丈夫。だからお兄ちゃんもゆっくりここで養生してね。  ちゃんとしっかり元気になってからあの家に帰って来てね。  
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