act.3 悠里

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   その後、出雲家に立ち寄った。  ちょうど夕食時になってしまったから、用件だけを済ませて早く帰ろうと思っていたんだけど、末っ子のぴーちゃんと鷹くんのコンビに捕まってしまった。 「ゆーり姉一緒にごはん〜」 「え?え?あの」 「ゆーねぇ、ごはん〜」  玄関先で二人の可愛い手に両手を引っ張られる。いや、それは申し訳ないのよ。一応これでも社会人だから、図々しく礼儀知らずになるとお兄ちゃんに叱られる〜 「あら悠里ちゃんお帰り、早く手を洗っておいで。今日はビーフシチューよ。悠里ちゃんの好きなパン・ド・カンパーニュも焼いておいたわ」  わぉ…大好物、出雲家のシチューとおばあ様の手作りパン。ここにアルおじい様のグリーンサラダでもう無敵。 「悠里ちゃん、うちのお母ちゃんの新しい絵本が届いてるわよ、発売前に読めちゃうのは身内の特権ね!食後のお楽しみよ」 「ゆーり姉早くお手々洗って〜ほら、にゃん太くんも待ってる〜」  ああ、美音さんまでそんな事を〜ぴーちゃんもそんなに可愛く私を呼ばないで〜ああ、にゃん太くんまでそんなにじっと私を見ないで。 「…お邪魔します」  お邪魔をしない選択肢が無かった〜
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