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今日も出雲家に帰り着いた。
今日はいつもよりかなり早い帰宅だ。絵本の途中で悠里が寝てしまったので、そっと病室を出てきたのだ。
まだリビングにいた出雲家の子供達が俺を見つける。
「りゅー兄ちゃんおかえりなさい!」
ひかりが駆け寄ってくれる。不思議だな、同じ家に住んでいる筈なのに会うのが本当に久しぶりだ。
「うん、ただいまぴーちゃん」
「りゅ〜ちゃん」
鷹も俺の膝にパフッとくっついてくれる、相変わらず人懐っこくて可愛い出雲家の子供達。
「龍兄お帰り、ゆーり姉は大丈夫?」
真也も来てくれた。真也には悠里が病気で暫く会えないと伝えてある。真也も大きくなったから、以前よりも俺の話は理解出来ている。
悠里の大好きだった出雲家の子供達は、今日もちゃんと元気だ。
「うん、ご飯もしっかり食べるようになったから大丈夫だ。みんなありがとう」
「お見舞いに行けるようになったら連れて行ってね、ゆーり姉に会いたい」
「ぴーちゃんも〜」
「たぁも!」
一瞬言葉に詰まる、それが出来たら本当に良いだろうに。悠里も記憶があればどれ程喜ぶだろうか。
「ほらほらみんな、お兄ちゃんをゆっくりさせてあげようね。お風呂もまだなんだからね」
いずも先生からの助け舟だ、子供達がちょっと名残惜しそうには〜いと散って行く。
俺はいつも持たされているランチボックスを持ち替えた。キッチンで片付けをしている薔子さんの所に持っていく。
「あの薔子さん、いつもありがとうございます。いつもとても美味しいです、ご馳走様です」
「あら、ありがとうね、ちゃんとしっかり食べてくれるから私達も作りがいがあるわ」
行き会えない事もあるから、会える時にはちゃんと感謝を伝えたい。本当に出雲家の人達にはいつも助けられてばかりいる。
「北、風呂に入れよ。後でお前の部屋に行くから」
出雲が今日も酒を持って来てくれるって事か。相変わらず俺を気遣ってくれている。今日はお前に話があるから早く帰れて良かった。
「親父さんとアルさんにもお会いしてくる、久しぶりだから」
お二人は母屋と書斎だな、俺はまず母屋へのドアを開けた。
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