手紙

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手紙

クリスマスイブ 仕事を終え、 マンションの部屋に着くと 蓮は、手を洗いCDをかけた。 『あなたに最高の幸せを』 蓮も望も大好きなアルバム テーブルの上に便箋を広げる。 会えないのならば、 せめて手紙を書こうと思った。 望が幸せになるように 思いを込めて 思っていることを ちゃんと書けるように 祈りながら… ペンを走らせて行く… この手紙が、 望さんの手に 届くかどうか分からない。 もし、手にしても、 そのまま破り捨てられて しまうかもしれない。 自分が言いたいことを言うだけの、 自己満足かもしれない… また、 望さんを 傷つけてしまうことに なるのかも… けれども… 私が正直に 心の内を明かさなかったから こうなったのだから… もう… 同じ過ちは 繰り返したくないの… だから望さん… 許してね。 私の最後の… わがままです。 誤魔化しや 隠し事は止めて 私のありのままを 見て欲しい。 だから、 自分の気持ちとか… ちゃんと伝えようって。 そう思ったの。 だから手紙を書くことにした。 オーナメントはないけれど、 書いた手紙を もみの木に置いたら 望さんに気持ちが届くかなって… そんな気がする。 だから、書き上げたら 明日、もみの木に 置きに行くつもりよ 翌日の朝 少し早起きをし、 昨日書いた望宛の手紙を 公園に持っていった。 手紙を胸に押し当て 「望さんに私の想いが届きますように」と祈りを込め、 もみの木に置いた。 仕込みの時間がある。 急ぎ足で、マンションに戻った。
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