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不変
「おっかしいなぁ」
ベッドの上でリングを見つめながら、私は呟く。
課長と付き合ってからもう三ヶ月が経つというのに、リングは銀色のままだ。
大人の恋愛は進むのが早い。
デートだって何回もしているし、お互いの家に行ったことだってある。
体を重ねたことだって、一回や二回じゃない。
今は課長の家で半同棲中だ。
まだ前回のことを吹っ切れていないのだろうか。私は課長に心を開ききれていないんだろうか。
そんな状態で一緒に過ごしているなんて、申し訳なさでいっぱいだった。
「そんなまじまじとリング見てどうしたの」
課長は濡れた髪をバスタオルで拭きながら私に問いかける。
「リングの色、なかなか変わらないなって」
「確かに、銀のままだね」
「きっと私のせいだよね、ごめん」
彼は髪を拭く手を止めると、俯く私の隣に腰を落とす。
「ゆうこが謝ることじゃないよ。それに、リングの色なんか関係ない。俺達は愛し合ってる、だろ?」
「…課長」
彼の胸に顔を埋める。
「二人の時は名前で呼んでって」
「…まさと、ありがとう」
言い終えるとほぼ同時にキスされた。
優しく、包み込むようなキスに、安心した。
次第にキスは、深く、激しくなっていき、私はベッドに押し倒された。
濡れた髪が顔に落ち、彼の色気を増幅させていた。
愛する彼に抱かれ、私は幸せだった。
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