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「あれから、姓名判断、他のも見てみたんですけどね。
全体運は確かによかったですけど。
やっぱり、凶の部分もありましたよ」
次の週の土曜日、悠里は七海と電車に揺られていた。
窓の外には田園。
ロングシートの車両は、平日の朝晩は満員なのかもしれないが。
休日のこの時間は真ん中に誰も立っておらず、ガランとしていた。
「そうか。
あれからまた、俺の名字で姓名判断をやってみたのか。
感心感心」
などと言われ、やるんじゃなかった、と後悔する。
視線をそらすように後ろの窓を振り返ってみると、線路沿いの道は大渋滞していた。
並ぶ車の遥か向こうに、パビリオンのようなものが見えている。
「ほらな。
電車で来て正解だったろ」
同じく振り返りながら、七海が言った。
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