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花の博覧会だったので、場内の何処も花で飾りつけてあった。
こんなに綺麗だったんだ? と悠里は驚く。
前回来たときの記憶といえば、美味しいものを食べて、酒を呑んだことしかない。
だが、七海と美しい庭園を歩きながら、実は悠里は焦っていた。
もう昼が近づいている。
この中は、実は食べ物を売っている店が少なく。
すさまじく並んだ挙句になにも買えないで終わったりする。
そろそろ行った方がいい。
だが、なんとなく言い出せない。
社長は花のある景色を楽しんでいるのに、私の頭の中は食べ物と酒でいっぱいなのが、ちょっと恥ずかしいし。
そもそも、この間もここに来たことを、社長には伏せているし――。
ああでも、あの相当並ばないと買えない、美味しい甘辛の鶏を社長にも食べさせてあげたいっ。
あれで、この青空の下、社長と利き酒セットで一杯やったら、最高だろうっ。
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