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「お、あっちに薔薇の門があるらしいぞ。
撮影スポットになってるようだから、二人で写真を……」
などとロマンティックなことを言おうとしたらしい七海の言葉を遮るように、悠里は叫んだ。
「社長っ。
早く並ばないと、ここでは、お昼にありつけませんっ。
――と、この間、ここに来た友だちが誰かから聞いたって言ってましたっ」
待てよ。
ここに来た友だちが誰かから聞いた、はおかしいな、
と気づいたのだが。
どんどん人が食べ物屋の方角に流れているのを見て、悠里は焦る。
「社長っ。
とりあえず、走りましょうっ」
「お、おう……?」
と戸惑う七海の手をがっし、と握り、悠里は広い場内を屋台に向かい、早足で歩いた。
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