ある町の花屋

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今日は何だか町全体が浮き足立っている。 こういう時は大概、遠くから旅人がやってきたというのが理由だ。 滅多によそ者の訪れない辺鄙な場所だけど、外から人がやってきた時には歓迎してもてなすのが通例。 町の入口のほうへ行ってみると、人が集まっているのが見えた。 その中心から突き出すような背の高い男性が、人の良さそうな笑顔を浮かべている。どうやら彼が今回やってきた旅人らしい。 周りの人から「どこから来たのか」とか「どうしてここへ来たのか」とか質問責めにあっているのだろう。少し困っているようにも見える。 何のために旅なんかしているのか知らないが、よくもまぁこんな所に来たものだ。 そんなことを思いながら見ていると、ふと彼がこっちを向いて目が合った。 その瞬間、なんとなく気まずくなってすぐに目を逸らす。 そのまま踵を返して、自宅へと歩き出した。
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