欺瞞

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欺瞞

お風呂から疲れた顔をして少しふらついた様子のおじさんに 「ごめんなさい疲れてるのにお風呂開けて貰って…」と謝ると 「風呂で寝てたらのぼせただけだ気にするな…」とバツが悪そうな顔で答え、「ゆっくりしてこい」と頭をくしゃくしゃに撫でる 「おっちゃんも、もういい歳なんだから風呂で寝てたら危ないだろう」と言うエイジに 「オッサン扱いどころがジジイ扱いすんじゃねえよ」等と軽口を叩きながら去って行く サリーやライラ姉妹と共に女の子達だけでお風呂に入る小さな子を先に洗い湯船に浸からせるとライラが内緒話の様に話し掛けて来る 「ねえ…このままあの人について行って大丈夫だと思う?」 「それは…」確かに完全に信用出来ると言えるほどでは無いけど… 「でも、子供だけじゃどうにも出来ないし…」 「あの人に付いて言ったら、アリアと別れ別れにされるのよ!そんなの嫌よ! 貴方はラーク君と離れても良いの?」 「それは…でも…」 「私ね、アリアと別れなくてすむ方法を見付けたのよ…」とライラが微笑む 「本当に?!そんな方法あるの、なら教えて」 「ええ…でも誰にも言わないなら教えてあげられるわ」 「誰にも?…」 真剣な顔で誰にも言ってはダメと言うライラを怪しいとは思うけど…でも…ラークの事もある 「ラークをお願い…」母の最後の言葉だ 孤児院は体の弱いラークを残しして私は先に出なくてはいけない… ラークと一緒に居られるなら…でも…! 「信用出来ないって言うならいいわ、もうこの話はお終いよ…」と見下す様な冷ややかな目を向けられる… 「待って…少し考えるから…」 「そんなに待てないわ、来るなら今晩一緒に来て」 「今晩?」 「ええ…今晩よ」そう言うとライラはアリアを連れ先に風呂を出て行く… 「アーシャどうしたの?」サリーに声を掛けられるまでライラの出て行った扉を見詰めていた 「何でもないよ…」どうしよう…誰にも言ってはいけないと言われたけど…こんなの相談無しでは決められ無い…だけど… 『お母さん…私どうすれば良いの…』 答えは出ることなく時間だけが過ぎて行く…
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