能動的結婚か運命の恋か

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「離婚した!?」  久しぶりに居酒屋で会った親友の伊織。  左手の薬指から、煌めく指輪が消えていた。 「ちょっと待ってよ!この間まで幸せそうに結婚式のこと話してたじゃない!」  出会って二週間で結婚を決めて、さらに数ヶ月で離婚するなんて……。  寝耳に水の話に頭が追いつかない。 「だからさ、その結婚式の準備で揉めちゃったの。だって彼のお母さんが出しゃばりでさ。なんでもかんでも決めちゃうんだもん。彼もお母さんの言いなりだし。なんかもう、冷めちゃった」 「そんな……」  先日瑞穂さんの実家に訪問した時のことを思い出し、目が泳ぐ。  ……違う。彼のお母さんはそんな人じゃないもの。ただ、愛が深いだけで。 「やっぱりスピード結婚なんてよくないなって、思い知ったよ」 「ちょっと……」  今だけはそんなこと言ってほしくなかった。  ……だって、もうすぐここに瑞穂さんがやって来て、伊織に結婚の報告をしようと思っていたのに。 「ほまれもさ、交際始めた彼、気をつけた方がいいよ。やっぱ知り合ってすぐ結婚決めちゃうのは危うい」 「………………いや」  ……ますます言いづらい。 ____「こんばんは」  背後から瑞穂さんの声が聞こえて背中がひやっとした。  もしかして、今の会話聞こえていたらどうしよう。 「み、瑞穂さん。お疲れ様」 「お疲れ様。あ、どうも。風間です」  瑞穂さんが伊織に向かってペコリと頭を下げる。  伊織は彼のイケメン具合に面食らっているのか、真っ赤になって固まるのみだった。
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