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「だが、レオナルド殿下のためにあなたは片足と両目を犠牲にしている。彼を恨んでいたのではないのですか?」
ゴクリと唾を飲み込んだユリアナは、会場いっぱいに聞こえるように声をだした。
「恨んではいません。この代償は、彼を守ることの出来た私の誇りです」
それまで静かにしていたレオナルドであったが、その場で立ち上がりユリアナに近づこうとする。だが、それを後ろに控える騎士が二人がかりで抑え込んだ。彼が法廷を乱すのは得策ではないと考えたエドワードが用意していた者たちだ。
「しかし目が見えず、声を聞かずどうやってあなたは護衛騎士がレオナルド殿下とわかったのですか?」
ユリアナは顎を上げて胸を張ると、しっかりとした口調で答えた。
「護衛騎士に触れた時、先見をしました。内容を伝えることはできませんが、声を出さない護衛騎士が殿下であるとわかりました」
会場全体がざわついていく。聖女が先見をしたと聞き、人々は興味深そうに互いの顔を見合っている。
「先見の内容を今明かさない理由は何ですか?」
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