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「明かしてしまうと、未来が変わる可能性があります。それにより、私は身体の一部を失くす可能性があります。もう、先見をすることはありませんが、未来を変えることで代償を払うことが今後ないとは言い切れません」
ユリアナは戸惑いながらも説明すると、副議長は言葉を続けた。
「では、他に護衛騎士がレオナルド殿下であると証拠立てるものがありましたか?」
「それは……、彼に頼んでバイオリンを弾いて貰いました。その時、護衛騎士がレオナルド殿下だと確信しました」
「何故、そう言えるのですか?」
「バイオリンの弾き癖が同じだったからです。私はかつて、音楽会の為に一緒に練習をしたので、彼の音色を覚えていました。ビブラートのかけ方やピッチの速さ。それら全てが殿下の癖と同じだったので、私は確信できました」
「……バイオリンですか」
副議長は呟きながら、質問を続ける。それは確信に迫るものであった。
「では、レオナルド殿下だと知り、あなたはどうしたのですか?」
「私が彼に命じました。……、一緒にいて欲しいと」
「それは、聖女の力を失くすことを目的としていたのですか?」
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