第二章 盲目の聖女

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「それよりも、一番の目的は……長年、私は彼のことを愛していました。あの夜しか、私にはありませんでした。ですから、責任は全て私にあります。護衛騎士であった彼に命じ、殿下はそれに従っただけです」  陪審員たちの顔がぱっと上を向いた。ユリアナの愛の告白に、誰もが驚いている。  ユリアナが望んだことであり、無理やりな関係ではなかったことを伝えられた。それだけで心象は良くなったはずだ。  だがレオナルドはユリアナの告白を聞くと、居ても立っても居られず「放せっ」と言い、押さえつけていた騎士を振り切ろうとした。けれどすぐに大勢の騎士達がやってきてレオナルドを押さえつける。王太子の命令だった。 「ユリアナ! ユリアナ!」  眉根を寄せて憂い顔をしながら必死にユリアナの名前を呼び続けると、聴衆が騒然となっていく。 「静粛に! 静粛に!」  カン、カンと副議長が木槌を叩く音が響くと、落ち着きを取り戻したのかレオナルドはエドワードの隣に座りなおした。今ここで騒ぐことは、陪審員たちの印象を悪くしてしまい得策ではない。 「ユリアナ……」
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