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「では、王子としてではなく、護衛騎士として殿下は命令に従っただけだと」
「違います。ひとりの男として、私はユリアナを抱きました」
レオナルドは恥じ入ることなく、大胆に発言した。するとその場にいる大勢の者が息を呑んでいる。
ユリアナは身動きがひとつもできなかった。
「レオナルド殿下、最後にお聞かせください。あなたはどうしてユリアナ殿の願いを叶えようとされたのか」
レオナルドは拳を握りしめながら、宣言するように声をだした。
「私は、彼女の杖になりたい。ユリアナが片足を捧げてくれた時から思っています。私の人生は彼女に全てを捧げている。……彼女を、ユリアナを心から愛しているからです」
大胆にも、レオナルドははっきりと愛の言葉を口にしていた。はからずも二人による告白がされた法廷は、静けさで覆われた。
だがひとり、ひくりと息を呑んだユリアナは、今聞こえて来た発言を頭の中で繰り返す。
——どうして? レオナルド殿下が、私のことを愛している?
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