第二章 盲目の聖女

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 カンカンと休会を知らせる木槌の音が法廷に鳴り響く。ユリアナは執事に支えられながら、何とかその場に立ち留まっていた。  判決が言い渡される前の休憩の時間となり、ユリアナは執事に手を引かれ、貴族院の要人用の控室に向かっていた。  ——あの発言で、良かったのかな……。  必要と思ったから発言したけれど、そもそも聖女であることを止めようとしたのは自分だ。だから、全ての罪は自分が負うべきものなのに、それを十分に伝えきれたように思えない。  この審問会の内容では、レオナルドが悪い人のように聞こえてしまう。どうにかして、そのイメージを払拭したかった。  ここまでくると判決を待たないといけない。本当はすぐにでも彼に会いたいけれど、証人である自分がレオナルドに近づくことはできない。  レームがレオナルドだと気がついていたことを言ってしまったけれど、大丈夫だろうか。彼は何度も自分の名前を呼んでいた。それに加えて、ユリアナのことを愛しているとまで言っていた。
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