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ユリアナは身を乗り出すようにして話を聞こうとしたところで、ドアを叩く音がする。どうやら、判決が決まったため、大法廷に集まるようにとの連絡だった。
「そなたは無理をせず、ここで待つがよい。副議長の声は聞こえるようになっておる。人々の前に立つのも、慣れてなければ辛かろう」
「ええ、そうして貰えると助かります」
「神殿の女官をひとりつけておくから、安心せよ」
「はい、ありがとうございます」
ユリアナはその場で、判決が言い渡されるのを待っていた。握りしめる手に汗をかいてしまう。
すると再開を告げる木槌の音が会場に響きわたる。ユリアナは再び緊張すると、鈴をきゅっと握りしめた。
——どうか、悪いことになりませんように……!
図らずしも二人が互いに想いあっていたことを表明した。決してレオナルドの一方的な暴力ではないことを証言した。心象は良くなったはずだからと、祈る気持ちで手を組み合わせる。
だが、副議長の口から言い渡された内容は予想を裏切るものだった。
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