第二章 盲目の聖女

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「アーメント侯爵が何を思っていたか知らんが、神殿はそなたを守ろうとした。だが、王家はそうではない」  シャレールはいきなり語調を強め、王族を非難し始めた。 「私の大切な姉さまが、王家に利用されて命を削ったのだ。お前の力を奪った第二王子に似た男だ、奴は姉さまが死ぬことをわかっていながら先見の予言を使ったのだ」  シャレールは忌々しげにかつての王族の仕打ちを語った。姉さま、というのは先代の先見の聖女のことだろう。彼女は若くして亡くなったと聞いているけれど、利用したのがレオナルドに似た王族だったことは、初めて聞く。  もしかして、それが理由でレオナルドを酷く糾弾したのだろうか。だが、そんな昔のことを何故今頃になって持ち出すのか。 「……そなたは、力だけではない。顔つきまで姉さまに似ている。幼いそなたを見た時、生まれ変わってきてくれたのだと確信した。そなたは、姉さまじゃ」  シャレールの声は低く昏い。まるで、夢の中で語るような口ぶりだ。ユリアナは彼女の目が覚めるようにと願いながら、はっきりとした口調で答えた。
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