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「私は私です。先代の先見の聖女様ではありません」
「いや、そなたは姉さまだ。そして、あの琥珀色の瞳をした王子がまた、そなたを利用しようとしておる」
「そんなことはありません! 彼は、レオナルド殿下は私のことを愛していると、言ってくれました」
ユリアナは懸命に答えるけれど、シャレードはどこか話が通じない。それでも、彼女を説得しなければレオナルドが罰を受けることになる。
「お願いします、訴えを下ろしてください。そのためなら、私が罰を受けます。ですから……」
「そなたはそれほどまでに、あの王子が好きなのか?」
「はい、彼は私の……私の全てです」
ユリアナが必死の想いを告げると、シャレールは顔を歪め忌々しそうな表情をして舌打ちする。ユリアナは神殿長のまとう空気が急に変わったことを感じ、どうしたのかと首を傾げた。
「そなたは……、王家など聖女の奇跡の力を利用することしか考えておらぬのに。そなたを守るために、そのような考えを捨てるまで神殿の北の塔で頭を冷やすがよい」
「なっ、神殿長様!」
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