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「もう! 熊を彫るならもっと可愛いものじゃないとダメよ!」
くつくつと笑ったレオナルドの胸を軽く叩くと、彼は髪を梳いていた手を下に降ろしてユリアナの左足に触れた。もう動くことのない足は、右足に比べると細くなっている。
「君の足、ちょっとかして」
レオナルドは足首を持つと、何かを結び始めた。
「これは?」
「昔君に、ブレスレットを渡したけど失くしてしまっただろう? その代わりにはならないが、アンクレットを作ってみた。ちょうど、一粒だけ琥珀を分けて貰ったから」
膝から下は細くなっている足首に、皮紐でできたアンクレットを巻いている。琥珀はレオナルドの瞳の色と同じ色をしているという。ユリアナは手を伸ばしてそっと触れると、硬い皮紐に小さな丸い石のような琥珀がついていた。
「ここなら、もう無くならないだろう?」
そう言った彼は、細い左足を持ち上げると足先に口づける。感触のないはずが、まるで唇の熱が移ったかのように温かく感じた。
「レオナルド……」
「これからは失くしても、簡単に諦めないで俺に伝えてほしい。俺は、君の目でもあるのだから」
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