正直者のじいさん

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 どうやら狭山さんはとんでもないことに気づいたようだった。うそのつきすぎで、自分でもなにが本当なのか、わからなくなってしまったのだ。 「自業自得じゃ」 「そうじゃ、みんなを騙した報いじゃ」  みんな口々にそう言った。同情する人間は一人もいなかった。大山さんを除いては。 「大山さん? どこへ行くんじゃ」 「ちょっと狭山さんに会ってくる」 「放っておけ。また騙されるのがおちじゃ」  大山さんは、 「それだけの元気があるなら良いんじゃが」  そう心配顔で狭山さんの元へ向かう。
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