正直者のじいさん

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 ひまわり西日山ホーム。この老人ホームには、二人の対照的な老人がいる。  一人は、正直で思いやりがあり、誰からも好かれる好々爺の大山さん。彼の周りにはあたたかな感謝の心が溢れ、笑いが絶えない。  もう一人は狭山(さやま)さん。彼はうそつきだった。  狭山さんは誰に対してもうそをついた。呼吸をするようにうそをつき、騙された者の顔を見ては笑う。ひどいときにはみんなの大切な年金を巻き上げてしまったりもした。  正直者の大山さんも、狭山さんに騙されたことがある。けれど大山さんはそんなときでも、 「いやあ、ころっと騙されたよ」  と笑っていた。
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