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雪が吹く星も見えない暗い夜、僕は道端に倒れていた。
雪でできた白色の道の上で倒れている僕に雪が積もっていく。
僕は、助かろうと必死に足掻き辺りを見渡す。
しかし、街の明かりは遥か遠くにあり、周りには光が一切なかった。
僕は街の明かりに手を伸ばした。
頑張れば届くのではないか、助かるのではないか
その時、雪を運んだ風が僕の目の前を通っていった。
その風が希望だけでなく残っていた体力さえも奪っていった。
僕は、雪の中に埋まっていった。
ギュッギュッギュッ
遠くから鳴き雪が聞こえてきた。
その音は近づいてきて僕の隣で止まった。
音の主は僕の顔に積もった雪を払い退けた。
音の主は、僕を木に凭れさせ、呟いた。
「私の砂時計を君にあげよう。そして、君の砂時計を私が肩代わりする。」
そうつぶやくと、音の主は僕の胸部に手を当て、何かを抜き取った。
それは、色とりどりに輝く砂が入った砂時計だった。
そして、音の主も自分の心臓の位置から砂時計を取り出し、僕の砂時計と取り替えた。
「これで君はまだ生きていられる。」
そう言い、僕の胸に音の主の砂時計を入れた。
すると、今まで感じていた体の痛みが引いていき、それと同時に意識を失った。
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