命の砂時計

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僕はここがどこかわからないので手がかりを探すことにした。 重厚に見えた扉は、案外簡単に開いた。 そこに広がっていたのは、、、 ゴミ袋の山が重なり、部屋の隅にはビール缶と新聞紙が積み重なっていた。 「え、、、えぇ、、、、、、」 あまりの異臭と、想定外の光景に頬が引きつる。 足を踏み出せずにいると、(ゴミで前に進めないだけだが)奥の部屋から一人の女の人が出てきた。 ひらひらがついた白いレースのパジャマを揺らしながら、ライオンのような寝癖をつけた一人の女だった。 「あ、起きたんだね。ようこそ、我が家へ。」 女は、にっこりと笑った。 「ここって家なんですか?それと、、なぜ僕は生きて、、、」 僕は改めて辺りを見渡す。手術台だって無いのに僕はどうやって? 「命の恩人の家をゴミ屋敷扱いなんて失礼なやつだな!まぁ、それはそれとして君は私が助けた。 すこし、長い話になるけど、君は私となり、私は君となった。 君の寿命は私が肩代わりした。そして、私の寿命を君に渡した。 人間っていうのは、心臓部分に砂時計っていうのがあって、砂が全て落ち終えると、寿命尽きて死ぬ。 でも、この砂時計を移し替えることができる。それが私達、魔術師だ。」 ”そして、君の中には私の砂時計が入っている。君はあの雪の日から魔術師になった。”
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