命の砂時計

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僕は、すべての記憶を失っていた。 名前でさえも、 失った僕は、新しい記憶を得た。 自分の名前はシュネー。 新しい育ての親は、アンジラ。 そして、一般人に知られてはいけない魔術師という一族。 今までの僕に記憶が無いので、キッパリと決別できた。 「おーい、シュネーちゃ〜ん。起ーきーろー」 遠くから聞こえる張った声 声が聞こえて体を起こす。 あの日、このベッドで目覚めた時と変わらない 日差しが差し込む空気が済んだ朝。 もうこの家に来てから1週間が経とうとしてきた。 アンジラは、距離感がおかしい。 来て二日目で、腕を肩に回して僕を近づけて、「酒飲むか?」などと聞いてきた。 未成年だから飲めないから無理なのだが、その前に僕の素性を明かしてない状態でこんなにも気を許していることが理解できず、断ることしか考えられなかった。 1週間も経つと、僕もアンジラに慣れてきた。 「起きたよー」 扉の向こうから漂ってくる焼きベーコンの匂いで腹がなる。 リビングへの扉を開けると、アンジらが慌てていた。 その理由はすぐに分かった。 「うっ、、、、焦げ臭い、、、、」 僕も片付けのためにキッチンへと走る。 僕の新しい家族との何気ない日常、何よりも楽しくて、何よりも大切にしたいと思った。
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