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本職顔負けの上手さに、彼女の刺繍の趣味が「趣味」という範囲を超えている事が目に見えて証明された訳だが、彼女が本当にただの針子のリルカであれば雇いたいと思えるほどの技量を前にしても、レナートはキュカのウェディングドレスだけは刺繍も全部自分がやると最初に決めた決意を翻す気は更々なく。
見事な刺繍のハンカチを額に入れて仕事部屋に飾らせてもらう事、キュカのドレスは全て自分が手掛けたいので申し出は有難いけれど丁重にお断りする旨を綴った返事を出したレナートは、暫くの間クローネのドレスに刺す刺繍のデザインに頭を悩ませるのだった。
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