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「ミゼルカ、お前にはテジミアのグラン将軍に嫁いでもらう」  父に呼ばれて出向いた先、このリュジ帝国の君主であるかの人はそう言った。  着飾ってもどこか地味な印象が拭えない、要はパッとしない顔立ち。母譲りのふわふわしたクルミ色の髪と紅茶のような色の瞳もさほど珍しい色合いでもなく、何をやっても突出したものもない。  不器用であまり出来の良くない姫である自覚はあれど、ミゼルカとて一応この国の皇女である事は間違いない。  政略結婚の覚悟などとうに出来ていたし、精一杯リュジ帝国の姫として急な縁談にも努めるつもりだ。 「はい、判りましたお父…、陛下」  今、玉座に腰を下ろしている父は、親ではなく皇帝の顔をしている。そしてこの決定事項を告げた場所は、後宮ではない。  ミゼルカは「お父様」と呼び掛けそうになり、慌てて「陛下」と呼び直した。  正妻の皇后を筆頭に、何人もの妻妾を囲う彼にとって、ミゼルカは特に目立った特徴もない地味な娘だ。着飾れば多少華やかになるものの、素材そのものが下手すると衣装や宝石に負けてしまう。
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