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 とはいえミゼルカも、元々あまり身分をどうこう気にしない姫君らしからぬ性質なので、いつしか二人の言葉遣いは砕けたものになっていた。さっきミゼルカが普通に遣った「マジ」という単語も、元はルーベンスに教えてもらったようなもので。  上官の言う事にも納得しなければ素直に従わず、時には逆らう真似すら躊躇わない不良騎士の彼が、何故未だクビになっていないどころか仮にも一応皇女のミゼルカの護衛騎士になりおおせているのか。  簡単な話だ。ルーベンスがひたすら強く、この国の将軍すらその気になれば倒せる実力者である事と、そのルーベンスが何故かみそっかす姫の第七皇女――ミゼルカの護衛騎士という空いていたポストを颯爽と手に入れてしまったからである。  ミゼルカにとっては、突出した才能も華もない自分のどこを気に入ったのかひたすら謎だが、ルーベンスは轟く悪評通りにやる気が見受けられない騎士であり、轟く悪評とは裏腹にかなり忠誠心の高い有能な騎士であった。  護衛騎士とは、護る対象によっては酷く退屈な日々を過ごす仕事だ。ミゼルカは第七皇女で、しかも母が娼婦という曰くつき。更に本人には姫君らしい美貌も典雅な特技もない。
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