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 よって、皇族としての仕事らしい仕事も未だミゼルカには殆ど任されず、仕方ないので日がな一日花嫁修業に明け暮れるのみ。  そんな引き籠り女の護衛として、日がな一日彼は刺繍するミゼルカと同じ部屋のドア付近で待機していたり、ダンスの練習では邪魔にならないよう廊下に控えていたり、本を読むミゼルカの視界が陰らないよう、常に太陽の位置を気にしながらひたすら静かに見守ったりと、かなり精神が疲れる事を毎日やっている。  自分だったら、公務をたくさん任されている皇子や皇女の護衛の方が、大変だろうが騎士としてやりがいがあるのでは? と思う。  だから自主的に孤児院を兼ねた教会を訪問する慈善活動以外はあまり仕事も任されず、他の兄弟とも若干距離を置かれているような自分の護衛に収まったルーベンスはサボりたいのかと当初は思っていたが、偶に演習を見学していると、好戦的なのか、戦うのは好きらしい。  何せ実力で将軍の地位まで上り詰めた叩き上げ武闘派のパスカル将軍すら、ルーベンスと一対一で訓練すると負ける事も少なくないと聞く。
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