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捧げたものは?
「そうだ、悪魔と契約するには何かを捧げなきゃならない、あいつは心臓を捧げた。」
「!?」
「馬鹿なやつだ、悪魔との契約は契約するときの欲望が果たされると、契約は解消される、そして、悪魔は人間の心臓を手に入れ、人間は死ぬ。これが、悪魔と契約するということだ。」
「なぜそこまでして、悪魔と契約を…。」
「わからない、でも、悪魔にまで手を出さないと解決できないことだったのかもしれない。」
「そうか、だから、昨日の相手を殺したのか。」
「ああ、悪魔だけを殺したのだが、心臓で契約した場合は悪魔を殺しても人間を殺しても、どちらも死ぬからな、まさか、心臓を契約に差し出してたなんて…、とんだ馬鹿者だな。」
「そうだったのか、ユーマは悪魔を殺そうとしたけど、相手が心臓を契約に使ったため、そのまま、悪魔も人間もともに死んだということだな、じゃあ、ユーマは悪気があったわけじゃないよな。」
「そうだが、人を殺したことには変わりはない。」
「だが、ユーマ、お前は自分を責め過ぎだ、確かに、人は殺してはいけないが、わざとじゃないんだろ?」
「じゃあ、ナイラ、お前は悪気はなかったが、ナイラの家族を殺されたどう思う?」
「それは…、悪気がなくても、恨み、憎むだろう。」
「それと同じだ、相手になにがあったかも、家族が生きているかも知らないが、相手にも家族がいたはずだ、それを俺は壊したんだ。」
「そんな…。」
「だから、少しくらい自分を責めさせてくれ。」
「だが、お前は!」
「大丈夫だ、ナイラ、お前もいるしな。」
「そうか。」
「ありがとうな、ナイラ、お前がいてくれて、生まれてきてくれて俺は助かったいる、前も今もこれからも。」
「そうか、俺も、ユーマが親友で良かった。」
〜〜お城〜〜
「おかえりなさいませ、ユーマ様。」
「ああ、ただいま、セバス。」
「そのご様子だと、上手くいったようですね。」
「ああ、ありがとな、セバス。」
「はい、ですが、いつからユーマ様はセバスって私を呼ぶようになったのでしょうか?」
「それは…、分からない、というか、覚えていない。セバスチャンより、セバスのほうが呼びやすいからな。」
「そうですか。」
「急にどうしたんだ?」
「いえ、なんでもありません。」
「夕食ご準備が整っております。」
「ああ、すぐ行く。」
「はい。」
〜〜次の日〜〜
「おはよう!ユーマ!」
「ああ、おはよう、ナイラ。」
「どうかしたのか?今日も少し変だぞ。」
「いや、ナイラはこの世界のすべての生物、いや、人間が幸せに暮らすことができると思うか?正直に話してくれ。」
「俺は、この世界すべての人間が幸せになれるかはわからない、だが、幸せであってほしいと思っている。」
「そうか。」
「そう言うユーマはどうなんだ?」
「それはもちろん、人間には幸せになってほしいが、それは必ずかなわない。」
「なぜだ?」
「人間はそれぞれ感覚や考え方が違う、その違いが人間の間で大きなみぞを作って行く、それが戦争の元になるかもしれない、それで戦争に負けた国はどうなる?終わる、それでも、世界の人間が全員幸せになると言えるか?」
「それは…、でも、幸せな人を増やすことはできるだろ?」
「今の状態が最大限だ。」
「それは、国王としてか?」
「そうだ。」
「そうか、なら良い。」
「すまない、朝から変なことを聞いた。」
「いや、大丈夫だ。」
そして、ユーマの変な質問は終わった、その日の空は変な色をしていた。
「今日のそれは変だな。」
「ああ、少し気になるな。」
その空は、変なことが始まる、スタートラインのようなものだった。
その日はなにも起こらなかったが、変な空がユーマに大きな影響を及ぼすことになるとはまだ誰も知らなかった。
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