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桜…、なんて。
「失礼いたします、セバスチャンです。」
「ああ。」
「ナイラ殿に手紙を書くのですか?」
「ああ。」
「仲がよろしいですね。」
「そうであったら良いのだがな。」
「ユーマ様…。」
「……。」
「ユーマ様、少し散歩してきたらいかがでしょうか?」
「そうだな、手紙を書き終わったら行こうか、もう春だな。」
「そうですね、もう春です、早いですね。」
「ああ。」
〜〜散歩、川〜〜
もう、春だな。
俺はやはり、最低だな。
さ、さくらか。
俺は桜は嫌いだ。
なぜなら、桜はいずれ、葉桜になる、変わることを惜しむ。
だから、桜と葉が混ざって葉桜になる、そんな桜は俺に似ている。
俺が俺自身が変わることをためらい、俺は桜のように、中途半端な人間だと実感してしまうからだ。
そろそろ戻ろうか雨が振りそうだ…。
「おかえりなさいませ、ユーマ様、もうすぐ雨が振りそうだったので、お迎えに上がろうとしていたところです。」
「そうか。」
なにかあったのかな?ユーマ様
「だめだ、もう俺は…。」
「失礼いたします、お手紙です。」
「誰からだ?」
「ナイラ殿です。」
「見せろ。」
『 ユーマ・W・バルティーナ
お前が今、すごく大きな悩みを抱えていると思って、この手紙を書いた、
お前はずっと前から1人で溜め込む癖がある、それを俺は知っている、それで
はダメなのか?俺がお前を知っているだけではダメなのか?
俺はダメだとは思わない、俺だけが俺を知っていると嬉しい、お前をしれて嬉しい、お前に出会えて嬉しいと思っている。
それだけは忘れるな。
〜ナイラ・パパラチア〜 』
ナイラ、俺はお前を大切に思っている。
それだけは一生忘れない。
誓うよ、ナイラ。
ごめん、ありがとう。
俺はこれからもずっと、お前の幸せを願っているよ、ナイラ。
「下がっていいぞ、セバス。」
「承知しました、失礼いたします。」
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