十年後に会いましょう

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「はあ、やっちまった……」  窓際で頬杖をついていると、左の頬をツンツンとされる。 「……何やってるんですか、先輩」 「ふふ、坂下くんのほっぺって柔らかいよねー」  俺は先輩の方に目を向ける。 「どうしたの? 何か心配事かな?」 「いや、何でもないです」  俺はそう言って窓の方に向き直った。 「もしかして順のこと?」 「え!?」 「やっぱりー。順のやつね、坂下くんと喧嘩したって、ちょっと落ち込んでた」 「そうだったんですか……。何かすみません」 「ふふ、謝ることないよ。坂下くんには坂下くんの事情があったんでしょ? 私は順のお姉さんだけど、坂下くんの味方だから」 「あはは……」  頼もしいような……。保積に怒られそうだ。 「大丈夫、私なんかしょっちゅう順と喧嘩してるもん。だから坂下くんも大丈夫だよ」 「……先輩、それフォローになってないです」 「え、そう?」 *****************************
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