十年後に会いましょう

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「坂下くん、これあげる」  そう言って先輩は時計を俺に差し出した。 「これは?」 「私、卒業するじゃない? その記念に」  俺は時計を手に取る。 「はあ……。……でもこれ、止まってますよ」  先輩はふふふと笑う。 「ねえ、坂下くん。十年後、また会いましょう」 「十年後、ですか」 「うん、十年後。十年後の○月✕日よ、絶対忘れないで。その日、ここに来て。この廊下に。もちろんこの時計を忘れずにね」 「はあ……」 *****************************
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