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「坂下くん、これあげる」
そう言って先輩は時計を俺に差し出した。
「これは?」
「私、卒業するじゃない? その記念に」
俺は時計を手に取る。
「はあ……。……でもこれ、止まってますよ」
先輩はふふふと笑う。
「ねえ、坂下くん。十年後、また会いましょう」
「十年後、ですか」
「うん、十年後。十年後の○月✕日よ、絶対忘れないで。その日、ここに来て。この廊下に。もちろんこの時計を忘れずにね」
「はあ……」
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