最後の風

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 夢だと気づいた瞬間、私は、目を覚ました。  私は一呼吸つき、窓を開けて、手を伸ばした。そこには風が感じられて、あたりまえの事なのにすごくホッとした。  いつも通りリビングに向かい、パンに目玉焼きを乗せる。  テレビを見ると、いつもと変わりない天気予報がやっていた。  「あのお天気お姉さんが出てる番組って日曜日じゃん…」  私がそう呟くと、姉が「なんか言った?」とパンにかじりつきながら言ってきた。  「ううん、独り言」  私がそう言うと、姉は「そう」と言った後、急に慌て出した。  「どうしたの?お姉ちゃん」  「今日雨だって!やば!傘壊れてたんだった!奥にあるかなー!?」  姉がリビングから自分の部屋に向かうドタバタとした足音が聞こえる。私はその音を聞いて、なんとなく温かい気持ちになった。  
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