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「今から言うことはなんの確証もないし、真実かどうかなんてもうわからない。でも俺はそう感じた。この手紙を見て俺の中では確信になってる。でもなんの証拠もないことだから」  腕をといた一樹がいきなり饒舌に話し出す。意味がわからない言葉たちが並べられて、私は驚いてしまった。 「お父さんが亡くなったとき、真帆はお母さんが亡くなったときと違ったよな?」  一樹の質問に思い出してみる。確かに母が亡くなったときの感覚を喪失感というのなら、父が亡くなったときはその感覚はなかったかもしれない。もちろん悲しかったけれど、心の三分の一くらいはほっとしていた。もう叩かれたり、文句を言われたりすることがないのだと思ってしまった。小さな声で一樹にそんな娘としては情けない回答をした。 「それに、すぐに深雪ちゃんが一緒に住んでくれたし、あなたも側にいてくれたから」  それも間違いないことだと思う。ひとりぼっちではなかった。 「でもさあ、それってラッキーだよな? そんなこと絶対ないけど、俺たちが別れていた可能性もゼロではないし、深雪ちゃんだって転勤とか結婚とかで側にいることはできなかったかもしれない」  ちょっと哀しくなる。一樹と別れなかったことはラッキーなのか? 「そんな言い方嫌だよ」  思わず声にしていた。 「いや、そうならなかったから今こうしてるし、これから先別れるなんてあり得ないから! 泣かないで。物の例え。わからないだろ? 未来なんて。いや、俺はわかるよ! 絶対に真帆を悲しませたりしない! 誓う! だから泣かないで!」  慌てている一樹が言っていることは、本当は少し嬉しい。そんな私に一樹はほっとしたようだった。 「頼まれたしな」  一樹はそんな謎の言葉を言ってまたちらりとテーブルの上を見る。
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